台湾華語的文法
「有」の用法
①特別な意味はなくとも、語調をそろえるために文中に挿入します。
台湾:博物館上午有開。
中国:博物馆上午开门。
②経験を示す肯定文にも使用します。
台湾:我有去過美國。
中国:我去过美国。
③過去のことについて、動詞の後ろに「了」を加えずに、代わりに動詞の前に「有」を挿入して過去を示します。また、疑問文として答える時に「還沒有」と答えて動詞を省略できます。
台湾:(A)你有看那部電影嗎? (B)還沒有。(または還沒看。)
中国:(A)你看了那部电影吗? (B)没看。
④状態を表すのに「著」を用いずに「有」で表すことが可能です。強調する場合には「著」と「有」が同時に使用されることもあります。
台湾:你有帶護照嗎?(強調する場合は你有帶著護照嗎?)
中国:你带着护照没有?
⑤「有~沒有?」の構文は常用されず、ほぼ「有沒有」で使用されるのが一般的です。ただし、問いただすような場面でたまたま「沒有」が後続することがあります。この場合は前の有が消えることもあります。
台湾:你有沒有帶護照。(你有帶護照沒有? は使われません)
中国:你带着护照没有?
台湾:你(有)聽到了,沒有?(問いただしている)
中国:你听到了没有?
⑥「はい」を意味するのにも用います。
台湾:(乗客)到火車站嗎? (運転手)有。
中国:(乗客)到火车站? (運転手)是。
「了」の用法
台湾では全体的に「了」を使うことをあまり好みません。台湾では、中国で「了」が使われるような構文でも省略されることがあります。また、語気助詞の「了」とアスペクト助詞の「了」との区別が曖昧です。
①~了~了構文が台湾国語には明確には存在しないので下記の5例文はほぼ同じ意味と考えて問題ありません。
1)我們唱了三十多首歌。
2)我們唱三十多首歌了。
3)我們有唱三十多首歌。
4)我們有唱了三十多首歌。
5)我們有唱三十多首歌了。
②何らかの文要素と呼応する「了」がしばしば省略されます。例えば、形容詞+「多了」の構文の「了」が省略されたりします。
台湾:這次的比上次的好多。
中国:这次的比上次的好多了。
③目的語が短い場合、アスペクト助詞の「了」を文末に置くことが多々あります。ただし、中国同様、動詞の直後におくことも出来ますが、台湾では目的語が短い場合にこのような表現は好みません。また、「有」を加えるほうが聞いていてしっくりきます。
台湾:我吃飯了。(または我有吃飯了。)
中国:我吃了饭。
④目的語がある程度長い場合、アスペクト助詞の「了」は動詞の直後に置かれます。動詞の直後に置くのか、もしくは文末に置くかの判断は、主として語感によります。この場合は、中国と同じ言い方となります。
台湾:我已經去了台東拜訪好久不見的朋友。
中国:我已经去了台东拜访好久不见的朋友。
⑤目的語が動詞の前に来る前のアスペクト助詞の「了」は、多くの場合は省略されます。
台湾:手機忘記帶。
中国:手机忘带了。
⑥語気助詞の「了」は文末に置かれます。この場合も中国と同じ言い方になります。
台湾:以前很少想念故鄉、但、最近常常懷念故鄉了。
中国:以前很少想念故乡,但,最近常常怀念故乡了。
⑦アスペクト助詞の「了」と語気助詞の「了」とが同時に現れる構文は台湾では一切使われません。
台湾:我們唱了三十多首歌。または我們唱三十多首歌了。
中国: 我们唱了三十多首歌了。
⑧少し前に完了した表現を現す「過了」を用いず、「有」で少し前の完了を表します。ただし、「了」を用いずに「~過」という表現なら許容されます。これからの動作の場合は、主として「先~」を用います。
台湾:(A)吃飯了嗎? (B)有吃啊。(または吃過啊。)
中国:(A)吃饭了吗? (B)吃过了。
台湾:先吃飯以後、再喝茶吧。
中国:吃过饭、再喝茶吧。
離合詞の用法
中国では最近離合詞の使い方が若い世代を中心にだんだんと崩れてきているとされていますが、台湾ではそれがはるかに顕著です。高齢の外省人の中には離合詞を律儀に使う人もいますが、多くの台湾人は離合詞をあまり意識していません。
台湾:我們排隊一個鍾頭了。
中国:我们排了一个小时的队。
台湾:我去出差三天。
中国:我出了三天差。
台湾:他結婚兩次了。
中国:我结了两次婚。
台湾:我爸爸住院三個禮拜。
中国:我爸爸住了三个星期的院。
受身形の用法
「被」で受身形を現すのが一般的で、中国のように「叫」「讓」などが使われることがありません。
台湾:腳踏車被大風吹倒了。
中国:自行车 被/叫/让/给 大风吹倒了。
使役形の用法
使役に使われる動詞は讓、叫、使、令などで、中国と変わりませんが用法に少し違いがあります。中国では「使」は主に感情を表す語句を従えますが、台湾ではそのような制限はありません。「令」も中国では感情を表す語句と組み合わせて使うことが多く、これは台湾と同様ですが台湾では「令」が感情と関係のない語句を従えることもあります。
「讓」の方が「叫」より語気が穏やかであること、「使」と「令」は比較的文語調であり、一部の慣用表現を除いては主として書き言葉として使用される点は中国と同じです。
台湾:媽媽叫兒子去市場買菜。
中国:妈妈叫儿子去市场买菜。
台湾:請你先讓他過一下好嗎?
中国:请你先让他过一过好吗?
台湾:老闆使(または叫)員工加班到很晚。
中国:老板叫职员加班到很晚。
台湾:他的那一句話真的令人氣死了。
中国:他的那句话真令(または使)人气死了。
使役・受動・処置の「給」
「給」は「~させる」(使役)・「~させる」(受動)・「~を」(処置)という意味を表します。
【使役】
台湾:這裡給我的車子停一下。
中国:这里让我的车子停一下。
【受動】
台湾:給火燙到。
中国:被火烫了。
【処置】
台湾:你現在是在給我罵。
中国:你现在是在骂我。
構文
①給は動詞の前に置くことも後ろに置くこともできますが、中国では前置式が主流であるのに対して台湾では後置式が主流です。
台湾:我打電話給他了。
中国:我给他打了电话。
②一部の介詞は動詞の前に置くことも後ろに置くこともできますが、中国では前置式が比較的好まれるのに対し、台湾では後置式が比較的好まれます。
台湾:寄往東京的包裹。
中国:往东京寄的包裹。
③台湾では有沒有を用いた疑問文で中国のように有と沒有とを分離することはできません。
台湾:你有沒有行李?
中国:你有行李没有?(または你有没有行李?)
④台湾では、不但…而且~の構文はあまり好まれず、不僅…而且~が専ら使われます。また、中国のように不僅の後に是が続くことが要求されません。
台湾:不僅阿明、而且阿玉也來了。
中国:不但小李、而且小潘也来了。
⑤台湾では盡管…但是~の構文はあまり好まれず、多くの場合は雖然…但是~で代用します。また、あえて盡管…但是~を使う場合は、盡管はjìnguǎnと発音し、中国のjǐnguǎnとは異なる声調となります。
台湾:雖然你對我不好、但是我沒能離開你。
中国:尽管你对我不好、我还是没能离开你。
⑥究竟jiùjìngはあまり使われず、多くの場合到底を用います。
⑦寧可…也要~という構文は書面語でごくたまに使われるだけであり、通常は寧願…也要~が用いられます。また、中国では宁可の代わりに宁肯を用いることもできますが、台湾には寧肯という表現は存在しません。また、寧の字はníngと発音され、中国のnìngとは異なる声調となります。
台湾:寧願吃虧、也要堅持自己的原則。
中国:宁可(宁肯)吃亏、也要坚持自己的原则。
⑧中国の要么…要么~という構文は台湾では使われません。
台湾:今天去、還是明天去?
中国:要么今天去、要么明天去?
様態補語
様態補語は中国語で非常によく使われる文型の一つです。肯定文については台湾と中国であまり違いはありません。否定文と疑問文とでは若干の違いが見られます。
①厳密には可能補語に分類されますが、実際上様態補語と同様の意味を持つ例も併せて議論します。例えば、
1 他跑得快。
2 他跑得很快。
とではほとんど意味は変わりません。しいて言うならば、2の「很」は形式的なものではなく本当に「とても」の意味を含む場合もありうることぐらいです。
しかし、これらを否定文にすると文法的違いが明らかになります。否定文にすると、
3 他跑不快。
4 他跑得不快。
5 他跑得很不快。
の3種類になりえます。3は1の否定、4は2の很が形式的であった場合の否定、5は2の很が実際的な意味を持っていた場合の否定となります。
この場合、3では元の得が消えてなくなっています。すなわち、1は様態補語ではなく、可能補語であることがわかります。一方、4と5では否定文にしても得が保存されています。すなわち、2は様態補語であることが分かります。しかし、ここではこのような例を含めて議論することとします。
②上記の例で、否定文には一般的に以下の文型が用いられます。
他跑不快。
他跑得不快。
他跑得不是很快。
他跑步不快。
他跑步跑不快。
他跑步跑得不快。
他跑步跑得不是很快。
③台湾では離合詞の分割を嫌うため、中国とは異なる否定表現になることがあります。
台湾:他跑步不快。
中国:他跑不快步。
④疑問文については、嗎または補語部分を用いた反復疑問文を用います。この点では中国と同じです。しかし、動詞の部分まで含めた反復疑問文は一切使われません。
台湾:他跑得快嗎? または 他跑得快不快?
中国:他跑的快吗? または 他跑得快不快?
台湾:他跑得快不快?
中国:他跑得快跑不快?
⑤様態補語では時々「得」が省略される場合があります。
台湾:他喝酒喝太多。
中国:他喝酒喝得太多。
結果補語
結果補語は基本的には台湾と中国は同じです。ただし、若干の違いはありえます。
台湾:他有沒有縫完衣服?
中国:他把衣服缝完了没有?
台湾:這麼多字我肯定寫不完。
中国:这么多字我肯定写不了。
方向補語
方向補語の多くは中国と同じですが、一部異なる場合があります。
台湾:天越來越黑了。
中国:天黑下来了。
可能補語
可能補語の場合、得をつけた上で方向補語的に來などをつける言い方が好まれます。さらに、能を付加することもよくあります。能を付加しても意味は特に変わりません。
例えば、中国では以下の6通りの言い方はすべて普通に使われますが、台湾では最初の2つが好まれる言い方です。
<よく使われる言い方>
你看得出來我是學生嗎?
你能看得出來我是學生嗎?
<あまり使われない言い方>
你看出我是學生嗎?
你看出來我是學生嗎?
你能看出我是學生嗎?
你能看出來我是學生嗎?
⑤上記のような方向補語的要素を含んだ可能補語を除けば、台湾では可能補語はほとんど使われません。
台湾:那家還不算大公司啦。
中国:那家还算不上大公司了。
台湾:明天你能來嗎?
中国:明天你来得了吗?
台湾:(A)河豚可以吃嗎? (B)不行啦!有強毒、不能吃!
中国:(A)河豚鱼吃得吗? (B)不行有!有强毒、吃不得!
反復疑問文
台湾と中国とでは、反復疑問文の文型に違いが見られます。台湾での言い方は中国でも使われますが、その逆は成り立たない例が多く見られます。
⑥台湾では有~沒有の構文は使われず、必ず有沒有~となります。
台湾:你有沒有零錢?
中国:你有零钱没有?
⑦完了を表すアスペクトでも、有~沒有の構文は使われずに、有沒有~となります。
台湾:你有沒有寫完作業?
中国:你写好了作业没有?
⑧過去の経験を表す場合でも同様です。
台湾:你有沒有來過這裡?
中国:你来过这里没有?
⑨台湾では動詞+沒+動詞の形の反復疑問文は一切使われません。
台湾:兒子有沒有去學校。
中国:儿子去没去学校。
⑩台湾では把+沒+把の形の反復疑問文も一切使われません。
台湾:你有沒有把衣服縫完?
中国:你把没把衣服缝完?
⑪台湾では補語を伴う反復疑問文において補語の部分を反復形にします。動詞を含めて反復形にすることはできません。
台湾:他跑得快不快?
中国:他跑得快跑不快?
台湾:明天你能來嗎?
中国:明天你来得了来不了?
重ね型の使い方
①ちょっと…するという場合、台湾では動詞の重ね型を用いず、動詞の後ろに一下を付加することによって表すのが普通です。中国ではどちらの言い方も可能です。
台湾:我們休息一下吧。
中国:我们休息休息吧。または我們休息一下吧。
台湾:你等一下喔。
中国:你等等。または你等一下啊。
②ちょっと…してみるという場合に、動詞+看看を用います。ただし、動詞の重ね型+看も用いられます。中国では動詞の重ね型+看も用いられます。中国では動詞の重ね型+看が比較的好まれますが、台湾では動詞+看看をよく使われる傾向にあります。
台湾:吃看看吧。または吃吃看吧。
中国:吃看看吧。または吃吃看吧。または吃着看吧。
ただし、試試看と試看看とでは前者のほうが一般的です。しかし、後者を用いても間違いではありません。
③台湾では中国とは異なり、軽い気持ちでする動作を表すために動詞の重ね型はあまり使われません。むしろ、目的語を重ねて表現するのが普通です。語調としては極めて口語的になります。また、自動詞の場合は目的語がありませんので、「一下」を付加して表現します。これは他動詞の場合にも応用されることがあります。
台湾:洗澡澡。または洗澡一下。
中国:洗洗澡。
④名詞の重ね型は、子供に対して話す場合によく使われます。可愛い感じを出すことができます。
台湾:你比較喜歡狗狗還是貓貓?
中国:你更喜欢狗儿还是猫儿?
⑤名詞の重ね型では、声調変化が起こりえます。1声と4声の場合は声調変化はありませんが、2声および3声の場合は3声+2声に変化します。また、先行動詞の声調が3声であれば通常のルール通り、先行動詞の声調が2声に変化します。したがって、2声の名詞を重ね型にする場合、中国とは声調変化のルールが異なります。
1声:看書書。(kàn shūshū)
2声:刷牙牙。(shuā yǎyá)→中国ではshuā yáyá
3声:喝水水。(hē shuǐshuí)
4声:吃藥藥。(chī yàoyào)
2声:洗頭頭。(xǐ tǒutóu)→実際の発音はxí tǒutóuとなる。中国ではxí tóutou
3声:養狗狗。(yǎng gǒugóu)→実際の発音はyáng gǒugóu
⑥形容詞の重ね型の非軽声化
形容詞の重ね型については中国とはほぼ同様ですが、第二音節が軽声化することはありません。3声の形容詞の重ね型が3声+1声に変調するのは中国と同じです。
台湾:乾淨乾淨(gāngānjìngjìng)
中国:干净干净(gānganjìngjìng)
台湾:好好唸書(hǎohāo niàn shū)
中国:好好读书(hǎohāo dú shū)
語尾
①名詞の語尾はr化を起こしません。代わりに一部の名詞(特に単漢字の名詞)には語尾として子が付きます。
台湾:我們一起去吃麵條吧。
中国:我们一块儿去吃面条儿吧
台湾:買車子。
中国:买车儿。
②文の切れ目ごとに呢を挿入して話すのは、台湾人にとっては聞いていてあまり良い感じがしないようです。
台湾:日本人去海外旅行時、都會由於習慣的差別而驚訝喔。
中国:日本人呢、去海外旅游时呢、因为习惯的差别都会吃惊呢。
③直前の単語の末尾の音韻により啊が呀、哇、哪などに変化することはありません。
台湾:那位是誰啊?
中国:那位是谁呀?
台湾:有啊!
中国:有哇!
台湾:你不是神啊!
中国:你不是神哪!
その他
①中国のように、好容易が好不容易の意味になることはありません。
②台湾では一會兒は滅多に使われず、主として一下が使われます。
台湾:我們休息一下吧。
中国:我们休息一会儿吧。
③「後で~する」という場合は、等一下を使います。
台湾:等一下再說。
中国:过一会儿再说。または回头再说
④「~しなければならない」という意味の得は、書面後を除き使われません。
台湾:我要回家。または我必須回家了。
中国:我得回家了。
⑤台湾では中国とは異なり、単音節形容詞の比較形の際に「為」を用いることはできません。
台湾:你一個人出去的時候、還是小心比較好。
中国:你一个人出去的时候、还是小心为好。
⑥百以上の位の2は常に兩を使います。中国では百以上の先頭の位のみ两を用います(ただし、このルールは中国ではくずれつつあります)。位の数を省略したときに兩を用いるのは中国と同じです。
台湾:兩萬兩千兩百二十二。
中国:两万二千二百二十二。
台湾:兩百塊錢。
中国:二百块钱。(ただし、两百を使う人もいる)
台湾:兩萬二。
中国:两万二。
⑦数字を棒読みするときに、1を中国のようにyāoと読むことはありません。そのまま、yīと読みます。
⑧おおよそ10を超える数に対して幾を使っても構いません。
台湾:從東京到大阪有幾公里?
中国:从东京到大阪有多少公里?
台湾:阿嬷、您今年幾歲了?
中国:老太太、您今年多大年纪了呢?
⑨感嘆を表す多麼は台湾では使われません。
台湾:真的方便!
中国:多么方便!
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