Ubuntuとは
Ubuntuとは何か?
Ubuntu(ウブンツ、ウブントゥ)とはさまざまなコンピューターの基本ソフトウェア(OS)である「Linux」のひとつで、「Ubuntu」という名称は南アフリカのズールー語で「他者への思いやり」「皆があっての私」といった意味を持つ。
数あるLinuxのディストリビューションの中でUbuntuはデスクトップPC向けで、すぐに使えるアプリケーションが豊富なことからユーザーが最も多い。Ubuntuは英カノニカル社が支援しており、新技術を積極的に取り込みつつ、使いやすさも重視して開発されている。Ubuntuからさらに派生したものとして「Xubuntu」「Lubuntu」「Ubuntu MATE」など見た目やOSの軽さを追求して開発されたディストリビューションもある。
Ubuntuのリリースには通常版と長期版(LTS=Long Term Support)がある。通常版のサポート期間はリリースから9ヶ月であり、長期版は2年間隔でリリースされ、サポート期間はリリースから5年である。通常版が新しい機能を含む最新のリリースを望むユーザー向けであるのに対して、長期版は安定した環境を望むユーザー向けである。
Linuxとは何か?
Linuxは1991年にフィンランドのヘルシンキ大学の学生だったリーナス・トーバルズによって開発されたOSで、完成後インターネット上にLinuxのソースコードが発表された。Linuxとは「開発者リーナス=Linusの作ったUNIX(後述)」という造語である。LinuxはUNIXの教育用パソコン版であるMINIXを模して作られたいわばクローンOS(いわゆる「UNIXライク」なOS)で、この時彼が開発したのは「カーネル」というOSの中核部分で、パソコンのハードウェアと直接データをやり取りする重要なソフトウェアで、プロセス管理・メモリー管理・デバイス管理などを担当している。
このOSは当時最も普及していたインテル製CPUのi386を搭載したPC上で動くように書かれた、UNIXと同じ働きをするOSのソースコードであった。1970~80年代からPCが広まり始めた頃、UNIXは高額な値段で販売されるようになっていたため、個人では入手できるものではなかった。そのような中で「安価なパソコンの上で動く、安価なUNIX環境が欲しい」というニーズが高まりつつあった時期にLinuxは誕生している。Linuxは発表当初は完成度の低いものであったが、インターネット上にソースが公開されたことで、短期間で機能を充実させていった。
さらにLinuxは、UNIXと同じように作られていたので、すでに何十年もの間、世界中で使い込まれてきたUNIX用のアプリケーションを全て 動かすことができた。それは、各種アプリケーションのソースコードが、オープンソースとして公開されていたために、Linuxへの移植作業が可能であったからである。これが短期間でLinuxが世界的に普及した理由である。
前述のカーネルだけではユーザーはパソコンを操作できず、実際に使うにはデスクトップ環境などのGUI(Graphical User Interface)や数多くのコマンド、Webブラウザーなど基本的なソフトが必要である。Linuxでは、さまざまな団体や会社(ディストリビューター)がLinuxカーネルにソフトを付けて配布している。これらをディストリビューション(配布物)と呼ぶ。
世界には多くのLinuxディストリビューションがあり、約250種類ある。ディストリビューションには大きく分けて、パソコン用(デスクトップ向け)とサーバー向けがある。デスクトップ向けは、Windowsのようにマウスで多くの操作ができ、オフィススイートやWebブラウザなどすぐに使えるさまざまなアプリケーションソフトがプリインストールされている。
低スペックのパソコンに向けた軽量タイプや、DVDなどから直接起動することを重視したタイプなどさまざまな種類があるが、 「Ubuntu」「Fedora」「Debian GNU/Linux」「CentOS」「Linux Mint」などがよく使われている。サーバー向けには、サーバー専用機や据え置きパソコンで24時間稼働するのが一般的なので、安定性に配慮して開発されている。「CentOS」や「Ubuntu Server」が著名なサーバー向けディストリビューションである。
この他、パソコン向け以外の機器で使う「組み込み機器向け」という分野もあり、これにはスマートフォン向けでよく使われる「Android」や、Chromebookには「Chrome OS」はLinuxがベースになっている。
UNIXとは何か?
UNIXは1969年にアメリカのAT&T社のベル研究所で開発されたOSである。もともと「Multics」というOSを開発していたが、当時のハードウェアでは重くて動かず、その反省を活かして作られたのがUNIXである。
このOSの始まりは軍事研究から起こったものであり、それまでの常識を打ち破る画期的なものであった。それまでのOSはハードウェアを製造するコンピューターメーカーによって作られていて、別のハードウェアでは使えないものだというのが常識だった。しかし、UNIXはハードウェアに特化しない汎用的なOSであった。
UNIXは1970年代後半から世界中に広まりだすが、その理由は完全なソースコードが付属していたためであった。ソースコードさえあれば、プログラマーはどのようなハードウェアでも動くように、OSを書き直すことができる。そのために、異なるメーカーから販売されている複数の種類のコンピューターの上で、同じOSであるUNIXが使われるようになった。しかし、大学や研究所に急速に普及した結果、さまざまな派生版のUNIXが誕生することになり、収拾がつかなくなる。
AT&T社は1956年に独占禁止法違反の訴訟でコンピューター産業への進出は禁止されていたことからUNIXを作ることはできても販売ができなかったが、1983年に米国司法省は2度目の独占禁止法違反の訴訟をAT&Tの解体で決着させた。これによりAT&Tは通信業務以外の分野への参入が認められ、コンピューター産業への参入が可能となり、AT&Tは社はUNIXを用いたライセンスビジネスを開始し、UNIXをライセンス許可なしで使用することを禁止した。これは結果的に従来のように自由にソースコードを改変したり、改変することができなくなり、UNIX文化は一時は絶滅寸前になった。
UNIXの商用化は多くの企業が自社製ミニコンピュータやワークステーションに商用UNIXを提供しはじめた。商用UNIXは、BSD発祥のものと、AT&Tからライセンス供与を受けたSystem Vベースのものがある。
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