台湾の中国語Q&A
Q. 台湾は中国なの?
A. 台湾は中国ではありません。台湾には「中華民国」という国家があります。
中国と呼ばれる中国大陸にあるのは「中華人民共和国」で、中華民国とは異なります。そもそも台湾という定義が難しいだけでなく、外省人系台湾人の一部は自身を「中国人」と呼ぶこともあります。また、オリンピックやWBCなどでは中華民国ではなく英語表記の「チャイニーズ・タイペイ」とされることもあります。「チャイニーズ・タイペイ」とは「Chinese exile government in Taipei(台北に存在する中国亡命政府)」の略です。
Q. 台湾の公用語は台湾語?
A. 公用語は中国語(北京語)で、中国大陸と同じです。
台湾語は公用語ではありませんが、主に本省人によって話されている台湾ネイティブの言葉です。なお、台湾語は福建省で話されている閩南語系統の言葉で、台湾で独自に発達したものです。また、客家系の人は客家語とよばれる言語を話すことがありますが、近年客家語を話せない客家の若者が増えていると言われています。
Q. 台湾人はどうやって中国語と台湾語を使い分けているの?
A. 台湾では公教育の場や公的機関等では中国語が公用語として使用されています。また、出版物でも標識でも文字表記される言語はほぼすべて繁体字の中国語です。テレビではどんな番組でも原則中国語の字幕が表示されます(これは中国大陸にも共通して言えることです)。
かといって、台湾語のメディアがないわけではなく、テレビ・ラジオには台湾語のものもあります。
台湾語は、台湾人全てが台湾語を話せるというわけではなく、大きく分類して本省人系の人は基本的に台湾語を理解できます(外省人でも聞き取りはできるという人もいるようです)。とはいえ、台湾語を理解できない本省人の若年者も増えていると言います。90年代中後半から公教育の場で郷土教育の一環として、公教育の現場で台湾語を教育するケースもあるようです。
台北市内では街中で台湾語聞く機会は比較的少なく、本省人系の家庭内の使用が中心です(たとえば、中国語での教育を受けていない高齢者とその子・孫との会話など)。一方で、台中・台南・高雄などでは街中でも聞ける機会がたくさんあります。
ちなみに台北の地下鉄であるMRT(捷運)では車内アナウンスに中国語・台湾語・客家語・英語が使用されています。
Q. 台湾の漢字はなぜ中国と違うの?
A. 中国では識字率向上を目的として簡略化された漢字「簡体字」を使っていますが、台湾では簡体字を使うことはなく、日本で戦前使用されていた旧字体とほぼ同じである「繁体字」を使用しているからです。なお、香港・マカオ(澳門)でも繁体字を使用しています。
Q. 台湾の中国語と中国の中国語の違いはどれくらい?
A. 単語の言い回しが若干異なったり、特定の漢字音が別の音に変化するなど特異点ありますが、決定的な文法的差異はなく基本的に両者の意思疎通は問題なくできます。
Q. 台湾では中国語を何と呼ぶの?
A. 一般的には「國語」「台灣國語」「華語」「中文」などと呼びます。中国大陸で用いられる「漢語」「普通語」といった名称は一般的ではありませんが、一応は通じます。逆に中国大陸でも「國語」は通じます。「華語」「中文」は中国大陸・台湾どちらでも通用します。
Q. ピンインって何?
A. 簡単に言えば漢字の読み仮名的なアルファベットです。中国大陸で漢字の簡体字化同様に識字率向上の為に普及されました。外国人の中国語学習にも使用されています。
Q. 台湾ではピンインは使うの?
A. 従来台湾ではアルファベットによる発音表記といえばウェード・ジャイルズ式が一般的でピンインはそうではありませんでしたが(ピンインは主に90年代後半~2000年代に在台外国人の中国語教育の場で使われるのが一般的でした)、2009年1月1日に公式にピンインを採用するようになりました。
ただし、固有名詞で台北(Taipei)や高雄(Kaohsiung)のようなウェード式表記や、基隆(Keelung)のような非北京語発音を元にした表記など、国際的に定着しているものについては変更していません。
また、ピンインの代わりに、ひらがな的存在として注音符号(通称ボポモフォ)があります。PCなどでの漢字入力はこの注音符号を用いるのがメジャーです。