台湾華語 文語の特徴
文語体がはっきりしている
中国大陸と比べて、台湾の中国語では文章のことばは比較的「いかにも文章語」らしいお堅い感じがします(個人的な印象です)。といっても、すべての文章がお堅いわけではなく、特に契約文や公的文書などにはそう感じます。反対に中国大陸では、一概には言えませんが白話(話し言葉)と文章語がほぼ一致している印象を受けます。
禁止を示す助動詞「別(bié)」の使用頻度が低い
これも中国語学習者が必ず学ぶ項目ですが、台湾の中国語ではこの「別(ㄅㄧㄝˊ:bié)」は通じなくはないですがあまり使いません。一般的には 「不要(ㄅㄨˊ ㄧㄠˋ:búyào)」を用います。「別」は「不要」の短縮形とされています。また、台湾の文章語では「勿」となります(丁寧な言い方の場合は「請勿」となります)。
なお、「不要」に似た言い回しで「不用(ㄅㄨˊ ㄩㄥˋ:búyòng)」というのがありますが、こちらのほうが語気を荒げない丁寧な言い回しの印象があります。
文章語で「地(de)」が「的」、「得(de)」が「的」と表記される
中国大陸で「他們高興地吃了蛋糕(彼らは喜んでケーキを食べた)」が台湾では「他們高興的吃了蛋糕」、中国大陸で「他講得太快(彼は喋るのが早い)」が台湾では「他講的太快」となるように、「地」と「得」がそれぞれ「的」と表記されることがあります。「地」「得」と表記される場合もありますが、それはまれのようです。逆に言えば、中国大陸の中国語では副詞的用法の「地」と程度補語・様態補語の「得」それぞれの字を明確に定義づけているということになります。
ちなみに所有を示す「的(ㄉㄜ˙:de)」」は「底」と表記される場合もあるようですが、滅多に見かけません(私は文法書以外で見かけたことはありません)。
文章語で文章中で「他」「她」「它」「牠」の使い分けが時々曖昧になる
すべて発音が「ㄊㄚ (tā)」であり、三人称の代名詞です。それぞれ「彼」「彼女」「(物や植物などの)それ」「(動物の)それ」を意味します。話し言葉ではすべて「tā」 となってしまうせいか、「他」「她」の混用を時々見かけます。ここに「它」「牠」が加わって、四者の区別していない場合もあります(また、このせいか中国語を母語とする人は英語を話す際に「he」と「she」をよく使い間違えをすると聞いたことがあります)。
中国語では元々「他」一字で三人称の名詞すべてを意味していたそうですが、近代以降にそれぞれ字を当てて概念を区分するようになったようです。ちなみに神様の三人称代名詞に「祂」というのもあります。
中国大陸も条件は同じだと思いますが、台湾よりは「他」「她」をより明確に・厳密に使い分けているように感じます。
「你」と「妳」がある
どちらも「あなた」を指す二人称の名詞でどちらも「ㄋㄧˇ:nǐ」と発音されますが、女性の「あなた」を示す場合に後者を用いることがあります。とはいえ、当然男女ともに前者のほうで事足りるので使用頻度は圧倒的に「你」が多く、「妳」は文章でたまに見かける程度です。
「咱們」をあまり使わない
「私たち」を示す「咱們」をあまり使わず、「我們」を使うのが一般的です。中国大陸の北方地域では「咱們」と「我們」の明確な区別があるとされ、前者は聞き手を含む「我々」(「他們」と相対する概念)で、後者は聞き手を含まない「我々」(「你們」と相対する概念)であるとされています。
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